北海道 釧路の地酒 『福司』 若僧蔵人の醸し屋日記 - 記事一覧
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| 発行日時 | 見出し |
|---|---|
| 2026.03.27 |
スペックで語るか、スペックを超えるか
今日ネットで興味深い記事を見つけたので共有します
スペック信仰の終焉。 世界的ソムリエ大越基裕が解き明かす、 2026年「日本酒」を制する6つの新基準 読んでいて、 「ああ、やっぱりそういう時代に入ってきているな」と感じました。 五色彩雲では、以前から いわゆる“スペック主義”から少し距離を取るようにしてきました。 精米歩合や数値ではなく、 「なぜこの酒を造ったのか」 「どういう思想なのか」 そこを伝えることを大事にしています。 とはいえ、現実は違います。 やっぱり人はスペックで買う。 正直、私もそうです。 ラベルを見れば、なんとなく味を想像してしまう。 でも、ここに一つ問題がある。 スペックは、嘘をつく。 削っている=手間がかかっている、とは限らない。 香りが高い=品質が高い、とも限らない。 同じ製法だからといって、同じ価値になるわけでもない。 油絵だから価値があるわけではないのと同じです。 クレヨンでも、 切り絵でも、 価値のあるものはある。 つまり、本当に価値のあるものを見極める目が必要。 ワインの世界もそうです。 品種や産地だけで価格が決まるわけではない。 そこには必ず「理由」がある。 スペックはあくまで目安。 それは、わかりやすくするための“補助輪”のようなものです。 この記事の中で、特に印象に残った一文があります。 いまや、高級な鮨屋などでも「とりあえず有名銘柄を置いておけばいい」という 安心感への依存から脱却する動きが始まっている。 より深い食体験を提供したいと願う若手の職人と、 志高い若い蔵元が出会うことで、 和の世界でも変革が起きているのだ。 ここ、すごく重要だと思っています。 正直に言うと、 ちゃんとした料理屋さんでも 「とりあえず有名銘柄を置いておく」 というケースはまだ多いです。 もちろん、それ自体が悪いわけではありません。 ただ、料理とのペアリングという視点で見ると、 少しもったいない。 単体で美味しい酒と、 料理と合わせて活きる酒は、 必ずしも同じではない。 この傾向は特に和食に多い印象です。 一方でワインは、かなりシビアに選ばれている店が多い。 理由もちゃんと説明できる。 なぜこの差があるのか。 おそらく、日本酒は “シンプルに見えて、実は難しい” からだと思います。 大きな違いが見えにくいから、 「どれも同じ」に感じてしまう。 結果として、知名度に頼る構造になりやすい。 でも、これからは変わっていくはずです。 日本酒が“体験”として選ばれるようになるなら、 飲食店側の理解も重要になる。 スペックではなく、 ・なぜこの酒を選んだのか ・どんな料理に合わせたいのか それを言葉で伝えられること。 むしろ、スペックがない方が、本質に向き合えるのかもしれない。 わからないからこそ、舌で確かめる。 そのうえで選び、その理由を自分の言葉で語る。 そういう環境が増えていけば、 日本酒の価値も、もう一段階上がる気がします。 五色彩雲は、挑戦するためのブランドです。 スペックではない部分で、 何を伝えられるのか。 どう価値として受け取ってもらえるのか。 そこに向き合うための存在です。 一方で福司のシリーズでは、 あえてスペックをしっかり出しています。 この差がどう影響するのか。 どちらが評価されるのか。 これからどうなっていくのか。 正直、まだ答えはわかりません。 ただ一つ言えるのは、 どちらが良いとか悪いとか、そういう話ではないということ。 これから訪れるであろう変化に対して、 どちらにも対応できるように準備しておく。 そのために、両方をやっている。 それぞれに意味があるということです。 ![]() 北海道は日本酒のフロンティア|五色彩雲(ゴシキノクモ) ![]() 記事はこちら|波乱の酒造りも挑戦のエネルギーになる!2026年のチーム福司 」」」」」」」」」」」」」 SNS情報 」」」」」」」」」」」」」」 ● 福司酒造 製造部(公式)Twitter: @fukutsukasa_ ● 醸し屋のInstagram : @fukutsukasa.kazuma ■五色彩雲ブランドページ URL:https://goshiki-no-kumo.com/ ■五色彩雲Noteページ URL:https://note.com/goshiki_no_kumo ![]() ■ 採用情報はコチラから 五色彩雲シリーズのお取り扱い店舗はコチラからどうぞ。 |
| 2026.03.26 |
蔵は、人でできている
五色彩雲をリリースしてから、
福司もちょっとずつ変わってきています。 昔はほぼ釧路だけ。今は少しずつ外にも出ていくようになりました。 東京の酒屋さんが蔵に来てくれたり、今月末には高輪ゲートウェイの 新しい施設の酒屋さんとも取引が始まります。 釧路の酒が、釧路の外で飲まれる。 これ、地味に大きな変化です。 で、ここからが本題。 酒を造るのは仕事です。 管理するのも仕事です。 でも、それだけじゃない。 「どういう考えで造っているのか」 これを伝えるのも、仕事だと思っています。 よく杜氏として私に会いに来てくださるのですが、 福司はチームで造っているので、 なるべくみんなにも関わってもらいます。 担当者にその部署の説明をしてもらったり あえていつも通りの話し方や、今シーズンのエピソードを混ぜたりして。 理由はシンプルで、 一人が話すと、いくらでも良く見せられるから。 でも現場は誤魔化せない。 メンバーが普通に話して、普通に動いている姿。 それを見てもらう方が、よっぽど伝わる。 あともう一つ。 外から来る人の話、めちゃくちゃ大事です。 市場のこともそうだし、 飲み手の感覚も教えてくれる。 これはチャンスです。 なので、そういう場に来れる人は 来ていいよってメンバーを誘います。 で、ここからが福司の話。 正直、私ひとりで酒は造れません。 苦手なこともあるし、 全部見ていたら頭が回らなくなる。 でも、チーム福司はみんなちゃんとやる。 手を抜かない。 だから、全部を把握している必要がない。 その分、考えることに集中できる。 逆に言えば、 いいチームがなければ、いい酒はできない。 これ、かなり本質だと思っています。 もちろンみんなも万能ではない。 そんなときは普通に現場に入ります。 粕剥いたり、タンク洗ったり。 この前は麹担当に顎で使われてました(笑) でもそれでいい、それがいいと思っています。 上だからやらない、っていう人に ついていきたいとは思わないので。 それよりも、 人が嫌がる仕事を先にやる人の方がいい。 自分もそうありたい。 (できてるかは別として笑) あと、これが一番大事だと思っていること。 利害関係がなくなったときに、人は動くか。 お金があるからやる。 それは当たり前です。 でも、お金がなくてもやりたいと思えるか。 「あの人のためならやるか」 そこがあるかどうか。 それがある関係は強いです。 もちろん、お金があればもっと動きやすい(笑) でも、土台はそこじゃない。 私がやるべきことは、 そういう関係を作ることだと思っています。 今シーズンもいろんな人に会うはずです。 その中で、いい関係が一つでも増えたらいいなと。 明日も札幌からお客様。 福司、好きになってもらえたら嬉しいですね。 ![]() 北海道は日本酒のフロンティア|五色彩雲(ゴシキノクモ) ![]() 記事はこちら|波乱の酒造りも挑戦のエネルギーになる!2026年のチーム福司 」」」」」」」」」」」」」 SNS情報 」」」」」」」」」」」」」」 ● 福司酒造 製造部(公式)Twitter: @fukutsukasa_ ● 醸し屋のInstagram : @fukutsukasa.kazuma ■五色彩雲ブランドページ URL:https://goshiki-no-kumo.com/ ■五色彩雲Noteページ URL:https://note.com/goshiki_no_kumo ![]() ■ 採用情報はコチラから 五色彩雲シリーズのお取り扱い店舗はコチラからどうぞ。 |
| 2026.03.25 |
仕込み終盤、片付けと次の準備
仕込みも残りわずか。終わりが見えてきました。
今のところ甑倒しは4月4日の予定。 その日が今シーズン最後の仕込み、蒸米になります。 ここから始まるのが“片付けモード”。 各自担当部署の片付けが始まり、 すべての搾りが終わる皆造(かいぞう)に向けて動き出します。 この時期、閉店準備のような雰囲気の中で忙しくなるのが 醪管理から搾り、そして火入れ前の濾過担当。 タンクをやり繰りしながら濾過を行い、 火入れがスムーズに進むように配置していく。 できるだけ手をかけない。 でも、結果的に一番手をかけるのがこの季節です。 大吟醸の仕込みとはまた違う意味で、頭を悩ませる時期。 シーズンが完全に終わるのは、今年もGW頃になりそうです。 仕込みはオフに入りますが、 オフにしかできないこともたくさんあります。 どこまで前に進めるか。 ここもまた重要な時間。 仕込みシーズンにできないことをオフでやる。 つまり1年のうち、前に進めるのは実質半年。 仕込みで半年、 オフで半年。 そして、次のスタートをきれいに切るために 今の時期から少しずつウォーミングアップのように 頭を切り替えていきます。 やるべきことの下調べをしたり、 補助金を考えるならそのための構想を組んだり。 酒造りそのものだけではなく、 それを支える部分にも手を付け始めます。 次の一歩のためのシナリオを描き、 動き出すための種まきをしておく。 いざ動くときに、 話が早く進むようにするためです。 今できることは何か。 今しかできないことは何か。 準備が8割、ですね。 ![]() さて、話は変わりますが今、蔵には五色彩雲の Nusamai、Ashiri、Mashuの醪があります。 さらに花華というオリジナル酵母の醪もあり、 大吟醸とはまた違う緊張感があります(私の中ではドキドキ)。 どれも年に1回のチャンス。 失敗はできません。 去年の反省を活かして、いろいろ工夫していますが それが良いとは限らない。 どうか良い方向に向いてくれ!と思いながら 日々、醪と向き合っています。 どの醪も、去年よりも攻めた造り。 それが良い酒質になると信じて。 Nusamaiも前半攻めた分、 中盤から後半の管理はかなり慎重に。 もっと香りが出てくれれば……と内心思っていますが、 なかなか思うようにはいきませんね。 まだまだ研究が必要です。 Ashiriも、イメージ通りの酸が出るかどうか。 ドライで、日本酒らしさから少し外れた味わいにしたい。 そのためには、攻めた酸が必要です。 去年は麹で思うように酸が出ず苦戦。 今年も簡単ではありませんが、 設計を少し変えてリベンジ。 これも凶と出るか、吉と出るか……。 上の写真はAshiriの酒母の泡。 雲のように、もこもこでした。 ![]() 北海道は日本酒のフロンティア|五色彩雲(ゴシキノクモ) ![]() 記事はこちら|波乱の酒造りも挑戦のエネルギーになる!2026年のチーム福司 」」」」」」」」」」」」」 SNS情報 」」」」」」」」」」」」」」 ● 福司酒造 製造部(公式)Twitter: @fukutsukasa_ ● 醸し屋のInstagram : @fukutsukasa.kazuma ■五色彩雲ブランドページ URL:https://goshiki-no-kumo.com/ ■五色彩雲Noteページ URL:https://note.com/goshiki_no_kumo ![]() ■ 採用情報はコチラから 五色彩雲シリーズのお取り扱い店舗はコチラからどうぞ。 |
| 2026.03.24 |
仕込み終盤、あと何ができる?
仕込みもあと数本。
ここまで少なくなってくると、 試せることやチャレンジできることも限られてきます。 仕込みが多い時期や、仕込み前は 可能性をいくらでも感じられるのですが、 この時期はまるでテスト時間の終盤、 「終了まであと○分」 あの感覚に近いです。 やり切ってもういいやと思う人。 最後まで確かめる人。 醸し屋も学生時代は、 「分からないものは分からない」 「テストが悪くても死なない」 そう思っていたタイプでした(笑) でも今は違います。 何かできることはないか。 最後まで手を尽くして、100%に近づける。 できるなら120%を目指す。 学生時代のテストと同じで、 別に死にはしない。 でも、その結果が その先を左右するという意味の重さを 知ってしまったということかもしれません。 そんな中で、「今できること」として ここ数年続けているのが発信です。 ブログはもちろんですが、 五色彩雲のNoteや、SAKE Streetさんの「酒蔵だより」など。 今シーズンの仕込みが始まってから、 Noteは2本目の記事。 久しぶりに仕込みの最中に、ゼロから書きました。 実は公開していない記事もいくつかあります。 ストックしているわけではなく、 旬が過ぎてしまったり、出すべきか迷うものもあるからです。 前回は、五色彩雲で原料を統一している意味を書きました。 これは、いずれその先に進む必要があると考えていて、 「今だから言えること」として出した記事です。 今回の記事は、どちらかというと“宣言”。 覚悟を持って出したものです。 タイトルは 「北海道は日本酒のフロンティア(かもしれない)」。 正直、自信があるわけではないので 「かもしれない説。」と小さく入れています。 ![]() 北海道は日本酒のフロンティア|五色彩雲(ゴシキノクモ) ただ、五色彩雲が東京に出ていく以上、 そのくらいの覚悟がなければ 北海道の日本酒は国内市場で戦えないと思っています。 逆に言えば、私たちが前に出られる可能性があるのも、この部分。 その覚悟にふさわしい銘柄になること。 それが五色彩雲の役割です。 少し前までは、 「北海道で酒を造っているんだ?」と 笑われることすらありました。 でも今は、状況が変わりつつあります。 大きな要因の一つが“米”。 北海道はかつて質の低い米の産地と言われていましたが、 今では国内でも有数の米どころになりつつある。 供給量も多く、安定している。 気候変動を考えても、むしろ可能性すら感じます。 この追い風に乗れるかどうか。 ただ手を広げて待っているだけでは足りない。 バタバタしながらでも、前に進むしかない(笑) 中身の細かい話はここでは書きませんが、 北海道の人間として思うことがあります。 まずは言い続けること。 北海道はこれからもっと良くなる、と。 その言葉は言霊になって、 いずれ自分たちに返ってくる。 そしてそれが、 地域への誇りや行動につながっていくはずです。 だから、まずは言いましょう。 北海道の良さを。 北海道の可能性を。 「北海道は、日本酒のフロンティアだ」と。 今はまだ、それが本物じゃないかもしれない。 でも、いつか本物を超えてそれが本物になる時が来る。 偽物が本物を超えることもある。 その時、偽物は本物になる。 ブランドって、そうやって生まれていくものだと思います。 北海道は、もう「歴史が浅い」と言われるだけの地域ではない。 まずは見てもらうこと。 知ってもらうこと。 そのきっかけを作る。 それが今回のNoteの目的です。 ![]() 記事はこちら|波乱の酒造りも挑戦のエネルギーになる!2026年のチーム福司 」」」」」」」」」」」」」 SNS情報 」」」」」」」」」」」」」」 ● 福司酒造 製造部(公式)Twitter: @fukutsukasa_ ● 醸し屋のInstagram : @fukutsukasa.kazuma ■五色彩雲ブランドページ URL:https://goshiki-no-kumo.com/ ■五色彩雲Noteページ URL:https://note.com/goshiki_no_kumo ![]() ■ 採用情報はコチラから 五色彩雲シリーズのお取り扱い店舗はコチラからどうぞ。 |
| 2026.03.19 |
「作ること」はゴールではない
以前も書きましたが、五色彩雲のブランドでNoteの記事を書いています。
Noteでは記事を書く以外にも、 どんな発信がされているのかをチェックする場としても活用しています。 SNSほど鮮度の高い情報ではありませんが、 その分、しっかりとした文章を書いている方も多い。 そういう意味で、 「自分の知らない世界を教えてもらう」 そんなつもりで見ています。 最近気になっているのが、 “小さな醸造所を造る”という記事。 いくつか目にするようになりました。 業界が活発になるのは良いことですし、 どんな人がどんな考えで参入するのか。 外の地域では何が起きているのか。 そういう視点で、情報収集をさせてもらっています。 その一方で、思い出すのが 30年ほど前の地ビールブームです。 1990年代後半。 酒税法の改正により小規模醸造が可能になり、 一気に参入が増えました。 ・地域振興(観光施設とセット) ・「地元の名物を作りたい」という想い ・規制緩和による参入ハードルの低下 釧路にも地ビール会社ができ、 期待感の中でスタートしました。 しかし結果は――多くの地ビールメーカーが姿を消しました。 理由はシンプルです。 ・品質が安定しない ・価格に見合う価値が伝わらない ・観光依存でリピートが生まれない つまり、「作ること」がゴールになっていた。 今、Noteで見かける記事も どこか似た空気を感じます。 作ることがゴールになっていること。 そして、作れば売れるという前提。 これは決して他人事ではありません。 私たち自身も、商品開発の中で 「作ること」がゴールになりがちです。 それを五色彩雲というブランドの中で、 改めて学んでいるところでもあります。 地域の夢を背負って、小さな醸造所が生まれる。 その光景は、確かに希望に満ちています。 ただ、少し視座を上げてみると 同じような醸造所がこれから各地に増えていく。 その中で埋もれてしまう可能性もある。 一方で、今のクラフトビールは その失敗を踏まえて進化しています。 観光土産ではなく、日常消費を前提にした設計。 「地元の水で作りました」という曖昧な話ではなく、 再現性のある設計。 つまり、きちんとした“設計産業”になっている。 私たちの地元にもブラッスリーノットというクラフトビールがあります。 植竹さんは、日本でもビールを造り、 カナダでも挑戦しようとした経験を持つ方。 その上で今、鶴居村でビールを造っています。 きちんとプロとしての道を歩んできた人です。 そして、日本酒業界のクラフトサケで 成功している方々も同じです。 多くの場合、酒蔵で経験を積み、 技術や考え方を身につけた上で 自分たちのロジックを構築している。 決して「面白そうだから」といきなり参入しているわけではありません。 ここをはき違えると、おそらく地ビールと同じ結果になります。 彼らが造っているのは単なる地域のお酒ではなく、 米の酒の新しい可能性 という、もっと大きな舞台なのだと思います。 ![]() 記事はこちら|波乱の酒造りも挑戦のエネルギーになる!2026年のチーム福司 」」」」」」」」」」」」」 SNS情報 」」」」」」」」」」」」」」 ● 福司酒造 製造部(公式)Twitter: @fukutsukasa_ ● 醸し屋のInstagram : @fukutsukasa.kazuma ■五色彩雲ブランドページ URL:https://goshiki-no-kumo.com/ ■五色彩雲Noteページ URL:https://note.com/goshiki_no_kumo ![]() ■ 採用情報はコチラから 五色彩雲シリーズのお取り扱い店舗はコチラからどうぞ。 |





